昭和の東京穀物商品取引所(赤いダイヤ)-5
第311回
いつもお読みいただきましてありがとうございます。
前回[途転]と書きました。
この言葉は相場で良く使われた言葉であり、売り買いが反対になることでありすなわち【売りべきところ買ってしまう、買うべきところ売ってしまう】ことです。
勤めていた会社は東穀でも売買高は常にベスト3~7位まで入っており、取引所からの自己玉規制により市場での売買が多くなり常に大きな注文がありいつも会社のお客さまは玄人筋から狙われており、お客さまは素人の方が多く「相場のプロ」から見ますと言葉は悪いですがカモにされます。
勤めていた会社ばかりでなく、同じように素人のお客さまが多い会社は狙われます。
会社に初めて「仕手筋」が入ったのは名古屋支店に転勤になり【プロの売買】を身近で半年以上見ることができ、相手がプロと察し支店長に報告しますと担当は私になり、お客さまも私が以前東穀の場立ちと知ると話が早いと思い、その後たくさんの事を学ぶことができました。
自己玉(会社の建玉)とはお客さまから仮に100枚の売りが出ます、100枚の売りに対し10%だけすなわち10枚が反対売買ができます。
全てのお客さまの注文の10%が会社で向かうことができ、でもいろんな方法がありほぼ向います。
絶対ということはありませんが安くなると感が働いたならお客さまが売りでも会社も一緒に売りに出ることもあり、これは会社の損を防ぐことを目的とした仕手戦に用いました。
その反対もお客さまが売りであっても市場では買いに行きます。
これを市場用語で(なめっかいし)と言います。
本来お客さまが売りなら売りが正常、それをあえて真逆の買いに行く事です。
向うとはお客さまに対して「自己玉で反対売買」を行い、理由は素人のお客さまは利益が出ますとほぼ95%の方はさらに売買を続けいずれ損が出ることが予想され、いつかは会社が儲かるようにできております。
欲を出さないで一度儲かったなら止めることです。
Aさんは200枚の買い、Bさんは80枚の売り、Cさんは50枚の売り、お客さまは全体で330枚です、自己玉は10%ですから33枚の売りを持っことができ、買い200枚に対して売りは自己玉も含め163枚あり、市場で他店から37枚買うことで、買い200枚-売り200枚、になります。
この説明はすごく綺麗な書き方ですが実際はこんな奇麗なものではありません。
一獲千金などとは夢のまた夢で、家族を泣かせる事となります。
一度儲かったならそこで止めることが大事で、続けるほど深みに入り大火傷どころか一家崩壊された方や自殺者まで見ております。
人間儲かると欲が出て、パチンコ依存症、競馬依存症、等がありますが相場を始めるなら最初から、金額を決めそれ以内で行うこと、一定額を決めても信用取引きは証拠金を入れることでより多くの取引ができます。
金の先物取引も同じ【小豆から金】に名前は変わっても儲けも大きいですが、儲けはいつまでも続くことなく最初に決めた金額では収まりません。
何故なら信用取引きには、毎日ある一定額迄の損益を計り、証拠金の半額が危うくなりますとさらに証拠金の請求があり、多くの方は損が嫌でそのお金を調達し、それを何度も繰り返し挙句の果て両建てなどとやってはいけないことをしたり結果は火を見るより明らかになります。
次回も書かせていただきます。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。
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